僕らの宇宙戦艦奮闘記
第十章
時は少し遡る。
ここはホムラ戦艦、艦橋。
「どう考える?」
斉藤雄二からそんな言葉が出たのは、宇宙に上がって、安定区域に入ってから。
本当は、クラス全員に話すべきことだったのかもしれないが、まずはトップ3…美並、カルラの二人に振る必要があった話題だった。
「…そんなもの、雄二が艦長になった時点から、怪しいと思ってる。」
さすがに、カルラは頭の回転が速いな。
「え?どういうことですの?」
さすがに、適性を認められず、オペレーターに甘んじた花子には、そこまでは分からないことだろうな。
「斉藤の身分は低すぎるねん。それに、いくらシュミレーションの成績が良いからって、やっぱり、祐太が初出撃であれだけ大ポカを見せといて、二度目で宇宙はおかしいやろ?」
答えたのは、美並。
黙っていても、副艦長。
さすがに、気が付いていたか。
「…何というか、お前たち、三人が初めてすごい人間に見えてきた。」
今まで、どういう目で見ていたんだよ?村山。
「確かに、斉藤はどこかのお金持ちでもなければ、議員さんの息子さんでもないわね。」
その通り。
歴代のホムラ艦長には初代艦長「夢村誠」を抜かし、ほぼ全員がどこかの財閥のお嬢様やお坊ちゃま、国会議員の秘蔵っ子などが、なっている。
何せ、将来『戦艦ホムラの艦長』をしていたということは、それだけで一つのブランドになるからだ。