僕らの宇宙戦艦奮闘記


「そうや。花子。」


 花子も、その言葉の意味を理解したらしく、瞳孔がパッと見開いたのが分かった。


 花子の言うとおり、実戦というのは、敵がいて初めて成り立つものだ。


 おそらく、この実験が終わったら、間髪いれず模擬戦が行われるだろう。


 実戦に備えるための模擬戦が…


「…敵が来るのですの?」


「…分からない。」


 そう、カルラの言うとおり、そればかりは分からない。


 でも、この配備。


 急すぎる宇宙実験。


 少なくとも上層部はホムラで戦う必要があると考えている。


 だとしたら、斉藤たちが考えることは、どのような敵が予想されているのかを考えることだ。


 そして、斉藤艦長が考える通りの敵が来た場合。


「‥‥‥‥‥まず勝てないだろうな。」


 斉藤が出した結論だった。


「「「「はやいわ!」」」」」


 艦橋組から総ツッコミが飛ぶ。


「艦長があきらめたら、それで試合終了やろ?」


 美並はそんなことを言うが…


「強襲艦クラスの戦艦では、旗艦には勝てねぇよ。」


 たとえば戦艦ホムラを艦隊に組み込んだ場合、戦艦ホムラは、決して旗艦にはなれない艦である。


 わずか40人弱しか必要としない戦艦。


 現在、地球上に存在する戦艦の中でも、ホムラの大きさは小型に位置する。
武装もミサイル、レーザー、機関銃を含め、全36砲門しかなく、主砲もわずか一つ。


 人型汎用機、雅をたった一台と、作業用戦闘機ピーチダックを5台乗せただけで、すでに格納庫はいっぱい。


 艦隊に組み込むならば、戦艦ホムラの役割は、護衛艦、もしくは強襲艦がいいところだ。


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