指輪
話す理由が見つからない。

でも無邪気な迷惑男を見てると嫌いになれないし・・・


それよりあたしはこいつの名前も知らない。

そして言ったら悪いかもしれないけどバカにみえる。

あたしの周りにいたような男たちの中ではまだ「まし」かもだけど。


「はぁ・・・・・・・・・」

あたしが大きなため息をつくと迷惑男は目を輝かせた。


「もしかして少しは俺のこと気にしてくれてる??」

本当に訳がわからない男。

でもこの輝いた目はあたしと違って少しの曇りもなかった。

澄んでいて目が離せなかった。


「ねぇあんたの名前は??」

気付けばあたしは迷惑男に話しかけていた。


「俺!?俺は八尋っての!!彼女は??」

「あっあたし!?!!」

行き成り「彼女は??」なんてビックリした。

そんな柄じゃないしね,こいつ。


「そう。あたし。」

八尋はあたしの目をみて笑う。


「あたしは鈴っての。」

あたしの名前を聞いた八尋は満足したみたい。

少しだけ大人しくなった。
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