指輪
1時間も経つと歌う人なんていなくなる。

大体はみんなペアが出来上がってる。


そういうあたしも八尋と2人で話している。

周りの女子は珍しいと思ってるだろう。

いつものあたしなら途中で帰ってるから。

でも今日は帰りたいとか帰ろうとか思わなかった。


「ねぇ鈴ちゃん。」

「ん~八尋どぉした?」

あたしと八尋は30分で打ち解けた。

でもあたしはそっけなかったと思う。

それがあたしだから。

親しくなっても信用しているかは別。


でも今日は変。

あたしは『八尋』って呼ぶけど八尋はあたしのことを『鈴ちゃん』って呼ぶ。

そんないつもは気にしないことがとても気になる。


気付きたくなかった。

八尋が好きってことに。

多分逢ったときからずっと。



 
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