指輪
「鈴ちゃん??」

あたしは少し我を忘れてたみたい。

八尋が心配そうにあたしを見てる。


「あっごめん。で，どぉしたの??」

「いや，彼氏いるかって聞いてるの。」

あたしは八尋がどうしてこんなことを聞いてくるのか分からなかった。


「なんで??彼氏とかいないよ。６年前から好きになった人すらいない･･･」

あたしはそっけなく返事をした。

八尋がなんでこんなことを聞いてくるのか分からなかったのと昔のことを思い出したくなかったから自然とそうなった。


「そっか!!」

八尋はそれだけ言って笑った。

分からないけど笑った。

そしてその目は輝いて澄んでいた目じゃなかったような気がした。

でも今はそれよりも聞きたいことがある。

だからその信号を知らない顔をした。


「ねぇ･･･八尋は彼女いるの??」

あたしは恐る恐る聞いてみた。

あたしにとってその返事は絶望的だった。

友華達だったら「希望あるじゃん!!」て言うような返事だったけど。

あたしには「希望」なんてもてない返事だった。
　

















「彼女はいないけど好きな人はいる。」

そういった八尋の顔はすこし赤くて，とても幸せそうだったから。



人のこんな眩しい顔を見たのははじめてだった。

そしてこんなに胸が締め付けられそうな思いをしたのもはじめてだったんだ。


この人の幸せそうな顔は壊しちゃいけない･･･いや壊せない。
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