指輪
あたしはこの場から逃げ出したくなった。

そしてもう2度と八尋には逢わない。


逢ったらまたこの感情が溢れてしまう気がした。

逢った事もない八尋の好きな人への嫉妬が。

こんなこと初めてだ。

 それほどあたしは八尋のことを・・・?



チャララ~チャラリラリ~♪

その時あたしの携帯が鳴った。

部屋の外に出て電話に出るとお姉ちゃんからだった。


『あっ鈴~??
 何回電話しても出ないから心配したよ~』

『ごめん!!
 今カラオケに来てて・・・』

『そっか・・・
 じゃぁ今日は遅くなる??
 ご飯いらない??』

 遅くなる・・・か。
 
 帰りたいな・・・

 八尋に逢いたくない。 


『お姉ちゃんあたし今から帰るから!!
 ご飯いる。』

『どぉしたの??
 ・・・・・・なんかあったね。迎えに行く。』 

『ちょ・・・『ブチッ』』

お姉ちゃんは一方的に電話を切った。

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