指輪
「鈴ちゃん逃げない??」

八尋は引きつった笑顔であたしに言う。

あたしは少しその顔の意味を知りたかった。

ちょっと意地悪してみたくなって

『あたし足痛い・・・』

と言ってみた。

八尋は優しいから『わかった』って言ってバス停にいてくれた。


そして八尋の友達がバス停で立ち止まった。


「八尋じゃん。
 今日遊ぶの断ったくせにどうしてここにいるんだよ??」

お友達がそういうと

「うるせぇ。まじどっか行って??」

と今まで見たことのない顔と聴いたことのない声で八尋は答える。


横で話を聞いているとお友達があたしに気付いた。


「ねぇもしかして彼女??」

と1人。

「可愛い~名前は??」

ともう1人。

「あ――――――!!もしかして八尋が・・・」

最後の1人が話している途中で八尋が口を塞ぐ。


そのとき丁度バスが来た。

八尋に手を引かれあたしはバスに乗った。




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