指輪
「あっバスが来た!!」

八尋がバス停を指さしながら叫ぶ。

八尋は先にバス停まで走っていった。

乗車口のところで手を振って

『早く~!!』と叫んでいる。


あたしはバス停まで走りながら

いつもだったら強引に手を引くよね・・・

やっぱさっきの気にしてるよね・・・

そんなことを考え悲しくなってきた。


八尋がいるところまで走ると

「よく出来ました」

って言って頭を撫でてくれた。


たったこれだけの仕草であたしは嬉しくなった。

バスの中ではやっぱり他愛のない話をする。


あたしはこの時間が一番好きかもしれない。


八尋の地元でバスを降りた。


「ねぇ今日はどこに行くの??」

あたしはこの間振り回されたから大体何がどこにあるかを覚えた。

お気に入りのお店に行くのかな??

と思っていたあたしに八尋は

「ジュエリーショップ」

とまったく予想もしていなかった場所に行くと言う。


もしかして好きな人にプレゼント??

そう思ったあたしの思考回路は停止した。

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