指輪
気付くとあたしは河原にいた。


かすかに覚えているのは八尋に触られたときでさえ

あたしは拒絶してしまっていたこと。


ここまで来るのにどれくらい時間がかかったの?

冷静になってきたあたしは申し訳なさでいっぱいだった。


「ごめん・・・八尋・・・・・・」

あたしが謝ると八尋は

『気にすんな。』って言ってあたしの頭を撫でてくれた。


少し安心したの。

だからまた涙が出てきた。


そしたらまた怖くなった。

また思い出すの??

次はもっと頑丈な鍵で閉めなくちゃだめだ・・・


涙が止まらなくなった。

早く枯れてしまえばいいとさえ思った。


八尋はそんなあたしが泣きやむまでずっと傍にいてくれた。

話し掛けることもなく触れることもなく。


それがすごく安心できた。


八尋が傍にいるだけで安心できるの。


恋って不思議だね・・・・・・

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