指輪
それからは朝・昼・晩の食事は友華やお姉ちゃん、そして八尋が食べられないあたしの横について励ましてくれた。

それでもあたしは食事をとることが出来なかった。



ある日の晩御飯のときいつもと違う食器で病院食とは思えないような御飯が出た。

今日は食べれそう……

食べれなくなって初めて希望がもてた。


その日はあたしの横には誰もいなかった。


あたしはスプーンを持ちコーンスープのようなものを一口飲んでみた。


「おいしい……」

いつもならあたしはここで吐いてしまうのに飲めた。

そして凄く美味しかった。

他のおかずなどにも手をのばしてみた。


他も吐かずに食べることが出来た。

もちろん全部美味しかった。


そして気付けば半分以上なくなっていた。


あたしは嬉しくなった。

でも夢じゃないだろうか…と思ったとき病室のドアが開いた。


入ってきたのはお姉ちゃんと八尋。


このときの八尋の顔は今でもハッキリと覚えている。

驚いた顔をしたと思ったら嬉しそうな顔、そして最後に泣きそうな顔をした。

お姉ちゃんなんか泣いていた。
< 71 / 102 >

この作品をシェア

pagetop