指輪
だった・・・・・・

そう過去形。

本当は今でも好きだけど過去形。


「ごめんね八尋。
 あたし我侭だから指輪は持っていたいんだ。」

八尋は何も言わない。

黙ったまま。


「・・・やひっ「俺が同情してたとでも思ってるの?」

言葉を遮った八尋の声は今までに聞いた事のない声だった。


「ねぇ。
 鈴は俺が同情して今まで逢っていたと思ってるの?」

声が出なくて頷くだけのあたし。


「誤解されるって言ったけど誰に?
 好きだったって過去形だけど他に好きな人できた!?
 もう俺がいなくてもいいんだ??」

八尋が声を張り上げた。


「・・・・・・うん」

あたしは思ってることと正反対のことを言った。


八尋が何か呟いた。

「八尋・・・??
 聞こえない・・・」

そう言ったときあたしは八尋に抱きしめられた。


「そんなこと言うなよ・・・
 俺鈴が好きだから。
 いなくてもいいとか思わうなよ・・・
 好きじゃなかったら毎日逢ったりしない。
 同情なんかじゃない。
 好きなんだ!!」

「八尋・・・」

嘘でしょ?

あたし馬鹿だから本気にしちゃうよ?

ねぇまだ間に合うから。

嘘っていいなよ・・・・・・
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