指輪
「ねぇ付き合ってよ。」

そう言って八尋はあたしを強く抱きしめた。


「本当??
 あたし指輪はめてもいいの?

 ・・・・・・八尋と一緒に居てもいいの?」

涙を堪えるのってやっぱり大変だね。

もうそろそろ限界だよ・・・・・・


「もちろん!!
 一緒に居て欲しいからっっ」

八尋にそう言われたあたしは嬉しさと驚きでいっぱいだった。

でもやっぱり不安なの。

同情なんじゃないかって。

だけどあたし八尋の優しさにつけこもうと思う。

卑怯だし汚いけど。

それでも一緒に居たいから。

でも少しの異変も見逃さないようにしてやっぱり同情だったと分かっても八尋を責めないで笑顔で背中を押してあげようと思う。


「鈴ちゃん。
 これあげる。」

八尋はあたしの手を取って左手の小指に指輪をはめた。

なんで小指なのかを分かる日はずっと先の話。


「ありがとう。」

このときあたしは八尋の左手の小指にも同じ指輪がはめられていることに気付いた。



この後あたしたちは何も進展のないまま家に帰った。

マンガとかではキスとかあるんだけどね。

でも幸せ。

この幸せが続きますように・・・・・・
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