プリティ・ボーイ
♪♪~わぁたっしはぁサソリ座のおんなぁ~♪♪
ビクッ
私は目の前に現れた眠りと言う扉を開けようとした時に白衣のポケットからのバイブの振動と陽気な着うたで現実に戻らされた
身の覚えのナイ携帯と、気持ち悪い着信音
……
ふと、あるムカつく人物が頭をよぎる
「チッ」
舌打ちをつきながらも、先程から鳴り続ける身の覚えのケータイ。
多分あるであろうポケットに手を突っ込んでみると案の定、ケータイがある
無駄にデコってあるケータイを取り出すと、耳にあて通話ボタンを押す
「もしも―『アゲハちゃぁあん!!』
うわ
スッゴい大声で叫ぶもんだから耳がキィ―ン…とする
てゆーか、気持ちの悪い声で私の名前を呼ぶなよな
皆様
お察しの通り
アゲハとは私のこと
私は神田 アゲハ
科学者って職業してるんだ
ひとまず、今は説明より電話を優先しなきゃね
てか、「もしもし」ぐらいちゃんと言わせろよ
私は心のなかで毒をつきながら少し苦い顔をし、電話の向こうの男性(?)に喋る
「お前な――『今どこに居るのぉ!?ミンナ心配してたよお!!』
そしてまたもや言葉を遮られた
みんな、とは他の研究員のことだな
てか私にちゃんと言わさせてあげようよ
話にならないでしょうが
そう思いながらも、電話の向こうのオーカーマはべらべら喋り続けている
めんどくさいな
「…はい? 誰ですか? 私にはこんなオカマ野郎の知り合いなんていませんが」
話にならないと思った私は早口で言い終わるとすかさず電話を切った。