冷酷系女子



そらが冗談を言うだなんて、珍しい。

きっと明日は雨ね。



「おいおい、そら
百合ちゃんとデートしたいんならまずは俺を通しな」



颯が自分の方へあたしの肩をぐっと引き寄せる。

あたしはそれをすぐに押し返した。



「は?んだよソレ、しかも急に呼び捨てかよ」



そうよ、なぜあたしのことなのに颯に許可をとらないといけないの



「ったくー
俺と、百合ちゃんは特別な関係なの、わかる?
それはもう親でもあり、恋愛の先生でもあり、恋人でもあるようなもんなんだよ」

「親でも恋人でもないわよ。」

「わ、やっぱバッサリくるね!」



けど……



「まあ、けど、親みたいに感謝しているのは本当」



あなた達のお陰で、新しい月島百合が生まれたの。



「颯だけじゃない、清香も、そらも。
あたし、あなたたちが友達で良かったって思ってる」

「百合ちゃん……」



清香が、両手を広げながらゆっくりと近づいてくる。

柄にも無いことを言ってしまって、少し恥ずかしい。

だからつい、



「冗談だけど。」

「「えーーーー!!!」」



そらみたいなことを言ってしまった。



「なんか、変わったね月島サン」

「うん、でもわたし、今の百合ちゃんもすき」



少し前までは、あたしのことを本気で好いてくれる子なんていないと思ってた。

いくら男の人に好きだと言われても、どうでもいいとさえ思っていたのに。

けど、今は純粋に嬉しい。



「俺も、嫌いじゃないよ」



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