冷酷系女子
あぁ、わたし、やっぱりそらが好きだ。
清香がそらのことを好きだったと知っても、もしそらがまだ清香のことを好きだったとしても、それは変わらない
それだけは変わらない。
「今の百合ちゃんだったらさ、無敵だよ」
颯があたしの頭にぽんと手を置く。
「だってこの俺が惚れちゃうくらいだからね、あの橘颯樹くんだからね」
「ふっ、出たわね、自信たっぷり」
「うん、だからね、分けてあげるよ
百合ちゃんが自信もって頑張れるように」
颯はあたしの手をとると、それを両手でぎゅっと握りしめて自分の額に当てる。
それから目を瞑って何かを祈っているようだった。
「ありがとう、颯」
口には出さないけれど、きっと、あたしのことだろう。
もう一度、そらに告白してみよう
颯にパワーをもらって、少しだけれど自信がついたような気がする。
「……ところでさっきの逆っていうのは、何に対しての逆?」
「え?」
颯と別れた後、
あたしは彼がいるだろうと思い、屋上のドアを開けた。
「なんだ、いないの」
せっかく、決心したというのに。
誰もいない景色が視界に入ってきて、あたしの口からは自然と独り言が出ていた。
それから一人で座っていると、見覚えのある落書きが目に入る。
「これ…………」
その日は結局…そらとは、タイミングが会わずに会えずじまいだった。