冷酷系女子
13.冷たい手
あんな一件があった後も
颯は、相変わらず颯だった。
「颯~っ」
「ねぇねぇ、今日はうちらといっしょに帰ろっ」
持ち前の明るさで、彼の周りはあっという間に元通り。
「ん、おっけー!」
颯の周りにはいつも誰かがいて、でも、目が合うとちゃんと笑って手を振ってくれる。
「なぁ橘、ちょっとコレ見てみろよ」
「ししょー、あのさぁー」
でもひとつだけ変わったのは、男友達が前よりも増えたって、言っていた。
あんなことがあったにも関わらず、女子に好かれている颯を男子達は師匠と呼んでいるらしい。
あたしと清香はというと…
「百合ちゃん、おっはよー!」
「お早う」
あたしと清香は、クラスで朝のあいさつをしただけで一瞬皆の話し声が止まる。
それからすぐにざわざわと噂をし始めるの。
大半はあたしたちの悪口?みたいなものね。
「なんかさぁ、最近居づらいよね、教室
まぁもとはといえば全部わたしのせいだから仕方ないんだけどさ、
なんか百合ちゃん巻き込んじゃって申し訳ないなぁ」
裏庭でお弁当を広げながら、清香がぼそっとつぶやく。
「いいわよ、別に
あたしは元から散々陰口言われてたんだしそれが少し増えただけ」
そんなの、ちっとも気にならない。
「それに、清香が居てくれるからあたしは大丈夫」
「百合ちゃん…好きっ!!!!」
あ、抱きつくのはやめてね