冷酷系女子
「……なんで、フルネームなの?」
いつもは月島さんって、呼ぶくせに。
「あぁ、なんか呼び方変だったね、じゃあ月島サン」
「月島サンも、ほんとは嫌」
知ってる
みんなの前では清香のことを苗字で呼ぶけれど
ほんとは名前で呼んでいるってこと
なのに、あたしはいつだって月島さん…
「なんだよはじめ自分で月島サンでいーって言ったんじゃん」
「そうだけど……」
今さらになって昔の自分を後悔する。
清香が羨ましい。
最初からずっと、清香は清香だったのだろう
「あー、じゃあ……月島?」
問いかけるそらに、
あたしは下を向いて首を横に振る
何を、やっているんだろう…
こんなキャラじゃないでしょう、あたし
「百合」
そらはあたしの顔を覗き込むと、そっとあたしの手をとった。
「あたしの手、冷たいでしょう?
あたしの性格と同じ…」
昔から冷え性で、あたしの手はいつだって冷たい。
「いや?」
だけど、そらが否定する。
「手が冷たい人はその分、心が温かい
とか、言うじゃん」
なにを、似合わないこと言ってるの
「じゃあ、そらは心が冷たいのね」
「あ?」
照れ隠しに、そんな憎まれ口をたたいてみると、そらの顔は一変して険しい表情になった。