冷酷系女子
ガンッ
屋上のドアを蹴ると、やっぱり簡単に開いた。
「あ、結城くん」
そして中には既に彼がいた。
「月島サン…え、何、前もそーやって開けた訳?」
「そうだけど」
「はっ、マジかよ」
口元だけで笑う結城くん
その横に少し離れて座った。
すると結城くんは首を傾けてあたしの顔を覗き込む。
「何?」
「つーか名前で呼ぶんじゃなかったっけ?」
名前…?
あぁ、そうか。
そんなこと言ったっけ。
だってまさか、またこんな風に会うだなんて思ってなかったし。
「なんか悩んでんの?」
あたしが答える前に、結城くんは次の質問をする。
しかも、なぜかわからない質問。
「悩んでる?なぜ?」
「や、なんとなく?」
なんとなく…って。
悩んでは、いないけど…
「おかしな人もいるのねって、思ってはいた所」
彼女、早瀬さんは全く理解が出来ない人種。
「何を言われてもへらへら笑ってて、気にしてるくせにそれでもずっと笑ってるの」