冷酷系女子
「まぁいいわ、訂正するのも面倒だし」
一時の噂なんて、みんなすぐ忘れるもの。
「なー百合ちゃーん
結城は敵多いよ俺にしなーい?」
「…あなた、性別が女なら誰でもいいんでしょ」
「んなことねーよぉ、かわい子限定」
…だとしたら、あたしもあなたの言う"かわい子"に含まれてるのね
かわいいの基準がわからないわ。
「でもさ百合ちゃん全然連絡くれねーんだもん俺さみしくて」
「連絡?」
あなたに…?なぜ?
「あーっ、もしかして俺って忘れられてる!?こないだ渡したじゃーん!俺の…」
「颯ーっ、ねぇ、ちょっと月島さん借りてもいい?」
男が何かを言いかけてる途中で、知らない女の子が彼に話しかける。
なぜ、あたしを借りるのに彼の許可がいるの?
それに借りるとか貸すとか、あたしは物じゃないわ。
「えー、どうしよっかなぁ
あいちん百合ちゃんにイタズラしない?」
「しないよぉ
ただ、月島さんと仲良くお話したいなぁって思っただけ」
仲良くお話…って。
目が"仲良く"って感じじゃないんだけど。
「ね、月島さんちょっとついて来て」
これから起こる事は、なんとなくで想像がつく。
ここで彼に止められたりしたら、後々もっと面倒だから一応小さく頷いた。
あぁ、なんで女ってこんな面倒なのかしら。
同じ女として、恥ずかしいと思うくらい。