冷酷系女子



…………は?



「訳がわからないわ。」

「あっれー百合ちゃんってもしかしてちょー鈍感?」



橘颯は人差し指をあたしに向ける。

人に指をさすなと教わらなかったのかしら。

不快だからすぐにその手を払いのけた。



「はっ、つまりー俺と親密な仲にならないかってこと」



相変わらずニタニタしながら彼が言う。

"親密な仲"って…何よ。

どこまでが"親密な仲"な訳?

同性にしろ異性にしろ、今まであたしにはそんな人がいなかったのだから、わかるわけがない。



「たぶん百合ちゃんに恋人…っつってもまだ早いだろうから、ん、友達でいーよ」



橘颯の右手が、スッと前に伸びる。

これは…握手?



「あなたあたしに握手を求めてるの?」

「あったりまえじゃーん
お近づきのしるしに、はい」



無理矢理に右手を引かれて握手をする。

なにこれ、今時小学生でもしないわよこんなの。

…なんだか、痒い。



「じゃーさっそく名前で呼んでみよっか!
ハイ、そ・う・く・ん」

「た・ち・ば・な・く・ん」

「うぇーかわいくないよ百合ちゃん
ってうそちょーかわいい」



…どっちよ、全く。

それより

いい加減手を放しなさいよ馬鹿。



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