冷酷系女子

4.あたしの事が好きな彼




不思議。

あの日、あの冴えない学級委員の彼に告白をされたあの日以来、なぜだかいつも誰かの視線を感じるようになった。

同学年の女子達の睨みつけるような視線はいつも感じていたけれど、それとは違う気がする。



「月島さん」



後ろから名前を呼ばれて、不覚にも少しビクッとした。

振り返ると、知らない顔

最近人に呼び止められるのが多い気がする。

どうやら視線の犯人は、この知らない彼だったらしい。



「これ、月島さんのでしょ
廊下に落ちてたよ」



彼はそう言うと、1本のボールペンをあたしに差し出した。

てっきり、クラスのあたしを嫌ってる誰かに悪戯されたんだと思ってた。

戻らないと思っていた物が戻ってきて、しかもそれはあたしが落としていただけだったなんて。



「どうも」

「どういたしまして」



あたしがわずかにお礼を言うと、彼は無駄に爽やかな笑顔を残し去って行った。

けど、ボールペンが落ちていたのなら、なぜ彼はこれがあたしのボールペンだと解ったのだろう。



「………美男美女」



ボソッと呟く声に振り向けば、今度は見覚えのある…



「はっ!ごめんなさい!!
盗み見するつもりじゃなかったの!本当にたまたま通りがかっただけでっ…そしたら美男美女でっ、お似合いでっ、見とれちゃって!」

「確か同じクラスの…」

「あ、早瀬ですっ」



そうそう、彼氏がダメ男の早瀬さん。



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