冷酷系女子
お昼休み、屋上に向かう。
あのチェーンメールが出回ってから来ていなかったのだけれど、まさかこんな事態になっているとは。
屋上のドアにはぐるっぐるに巻かれた鎖と南京錠。
これはさすがに、蹴ったってどうしようもない。
諦めて別の場所を探そうかと考えていると、後ろから声がした。
「入んないの」
「そら」
入んないのって、この状態じゃ無理でしょう
鍵でもなければ…
「あー、入れないんだ月島サン」
ちょっとどいてとそらはあたしを少し右に追いやる。
そしてものの一分程度であの頑丈に巻かれていた鎖が外れて床に落ちた。
「風紀委員だとさ、鍵自由に借りれんだよ
けど大抵教室とかって鍵2個あんのに、屋上の鍵はいっつも1個しかないんだよな」
そらは聞いてもいないのに語り、持っている鍵を鍵穴に挿すと、カチャリとドアノブを捻った。
「はい、どーぞ」
「…うん」
「でもなんでこんな急にガッチガチになってんだろーな屋上
立ち入り禁止でも鍵いっこで開いてゆるかったのに」
…あぁ、彼は知らないのか
あたしと彼のウワサを。