冷酷系女子
気をつけろと言われても、あたしには何も出来なかった。
確実な証拠もないのに委員長にあたしのストーカーをやめろと言いになど行けるわけもないし、行くのも面倒だから。
あの視線も、しばらくは放っておくことにした。
そして帰りの電車に揺られながら、いつものように1日が終わる。
「あれ、月島さん」
あたしが座っている目の前に、すらっと2本の足が並ぶ。
顔を上げると…
「ああ、今朝の」
「冬木だよ」
そう、冬木くん。
「奇遇だね、月島さんどこで降りるの?」
「麻住」
「え、そうなんだ!俺もだよ」
一緒だねと言い、やはり彼は爽やかに笑う。
けど同じ駅で降りるというのに、入学してから今まで彼と電車で会ったことはなかった。
まぁこんなに車両があれば会う確率も少ないのだろうけど。
そして今までもし会っていたとしても、あたしは彼に気が付かなかっただろう
それだけ他人に興味がないのだ、あたしは。
プシューと音が鳴って、駅に着く。
すぐ別の方向に行くだろうと思ったのだけど、なぜか彼はあたしの横を歩いた。
「送ってくよ、危ないし」
「別に、あたしは一人で…」
あたしの言葉を遮って、冬木くんが耳元に口を近づける。
そして小声で言った。
「知ってる?月島さんさっきから、誰かにつけられてるよ」
まさか、そらが言っていたことが本当なんて。
「だから、送ってくって…」
「なら走って帰る。」
あたしは彼にそう告げて走り出した。