冷酷系女子



次の日、いつものように屋上に行くと
既に鍵が開いていた。



「…………」



ドアを開けると、そらがいるのだろうと勝手に思い込んでいたのだけれど

そこにそらの姿はなかった。



「あれ、また蹴って開けたの」



あたしが着いたのに少し遅れて、そらがやってきた。

後ろからの声に振り返り、答える



「違うわ、最初から開いてて…それより」



やっぱりあたし、誰かにストーカーされていたみたい。

そう言おうとしたのだけれど、直前で言うのをやめた。

だってもしかしたらあたしの自意識過剰なのかもしれない

昨日そらにあんなことを言われたから、余計に意識してしまったのかも

けどあの彼も言っていた、"誰かにつけられている"と…



「……月島サン、ケータイ持ってる?」

「え?持ってるけど。」

「貸して」



そらが、あたしの携帯電話と自分のとを操作して、何かをしてる。

そして数分してからはい、と携帯電話を返された。



「月島サン、なんか男友達いなさそーだし危なくなったら鳴らして
ま、大抵出ないだろーけど。俺あんまケータイに依存してねーし」



まるで、あたしが考えていたことが解っていたみたいだ。

助けて、守って、なんて言っていないのに。



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