冷酷系女子
「"月島百合"だ。」
屋上に入ってきた人物が、私の名前を言い当てる。
私は首だけを後ろに向けて、その人を見た。
「あ…"結城くん"……」
あたしはハッと声を漏らす。
視線の先には皆がいつも噂をしてる、人気者の"結城くん"
整った顔ではあるし、なんとなく、知っていた。
「へー、俺の名前知ってんだ、意外」
「そちらこそ」
「有名だからな、クールビューティ」
結城くんはそう言うと、あたしの横に来て止まった。
そしてあたしの腫れたほっぺたとフェンスを掴む手を見て言う。
「何、死ぬの?」
………まさか。
「何で、生きるよあたし」
「じゃあそのフェンス掴まない方がいいと思う、すっげ脆いし」
「あーうん、なんとなくわかってた」
あたしはすっとフェンスから手を離した。
女にビンタされたくらいで死ぬ奴だと思われてんのかな、あたし。