冷酷系女子
「月島さんっ」
帰りの電車で、ぽんと肩を叩かれる。
一瞬身体を固くしたけれど、相手の顔を見て少し緊張がほどけた。
「あ、夏木くん」
「うん、冬木だよ」
あぁ、そうだったわね
あたしとしたことが…季節を間違えた。
「それにしても、昨日の月島さん…意外と足速いんだね」
冬木くんは昨日のあたしを思い出して笑う。
そういえばこの人は今日も、ついて来る気なのだろうか。
「ほんと、追いかけるの大変だったよ」
「あ、そう」
「ていうかさぁ、月島さんのストーカー、委員長だよ絶対」
口元に手をあて、少し小声になって冬木くんが言う。
「見たの?」
委員長が、あたしの後をつけているのを…
「…あー、見たっていうか、たまたま?
あんな振り方するから、逆恨みで嫌がらせしようとしてるのかもね」
…なにか、話が食い違っている気がする。
「いかにもストーカーしそうだよね、アイツ」
楽しそうに冬木くんが笑う
…彼は、委員長があたしに告白をするのを見ていた?
いやでも、あの場にはあたしと委員長と橘くんしかいなかったはず