冷酷系女子



ストーカーは、彼だった。

今目の前にいるこの男の人は、さっきまでの"冬木くん"とは声も表情も別人みたいだ。



「あなた…何が目的なの」

「何が目的って…ヘンなこと聞くね
俺はただ月島さんに変な男が寄り付かないように守ってるだけだよ。
月島さん宛ての気持ち悪い手紙は全部捨てて…
委員長にもさ、忠告しといたから、あいつの分際で月島さんに近づくとどうなるか。
あーそろそろ結城もなんとかしなきゃね、アイツ、調子のってるし」



冬木くんが、へらへら笑う

笑っているのにあたしにはそれが怖い

そらに、一体何する気なの



「月島さんが毎日安心して過ごせてるのは、俺のお陰だったんだよ?
なのに全然気付かないんだからさぁ…さすがの俺も、腹立っちゃって」



冬木くんの手がスッとあたしに向かって伸びる。

なんでよ、足が動かない



けれど手は勝手に動いて、あたしの右手はポケットの中で操作して、数少ないアドレス帳の中からそらを選んで発信する

助けて、なんて言いたくないのに

今のあたしじゃ誰かに頼らないとだめみたい

お願い気付いてよ、あたしには結城そらしか、頼れる人がいないんだから。



冬木くんの手が、あたしの首に触れるか触れないかの所で、別の誰かに捕らえられる。



「本人がさぁ、
触んなって言ってんじゃん」



なんで…



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