冷酷系女子
5.嫌わないから
「つっ、月島さん大丈夫?わたし…あの、まさか冬木くんがそんな人だとおもわなくて、そのっ…お似合いとか、無神経なこと言ってほんとごめんね!
それよりけがとか無い?
あっ、すみませんわたしドリンクバーで
あ、今日はわたし出すから、月島さんなんでも好きなもの頼んで?
ってあたしってばまた…今食べる気になんかなれないよね、ごめんね」
「……………」
どうしてこんなことになってしまったのだろう
彼女の止まらぬ話が、堪らなくうっとおしい。
それはほんの1時間前
「あ、やべ俺バイトの時間だ」
颯が携帯電話の画面を見て言った。
あたしの腕時計は16時50分をさしていた。
颯がずっと、くだらない話をしていてくれたおかげで、時間が気にならなかった。
ただ今の時間がわかった途端、なぜだかとてつもなく不安な気持ちになった。
「百合ちゃん一人で帰すの心配だから、誰か呼ぶ?女の子の方がいいよね」
颯が携帯のボタンをカチカチと押す
あたしはその手を抑えた
「百合ちゃん?」
女の子って、どうせあの集団でしか行動できない性格悪い雌猿でしょう
あんなのに来てもらうくらいなら、一人で帰ったほうがマシ
けど…。
「早瀬さん」
「ん?清香ちん?」
彼女なら、別かもしれない。
あたしは頷いた。