冷酷系女子



「なーになんか仲良いねふたり~どういうカンケイ?」



茶髪のエプロン姿の店員がニタニタ笑ながらそらの前にお水を置く。



「何ってただの幼なじみだよ、颯くん」

「へぇ~"ただの"ねぇ…」



相変わらずニタニタしながら、颯は早瀬さんからそらに視線を移す。

彼も気付いたらしい、

それくらい、そらはわかりやすい。



「…とりあえず、二人とも送ってくから帰るよ」



来て5分で、そらが席を立つ。

本当に彼女を迎に来るだけのために来たんだ。



「あ、ちょっと待ってごめんトイレ行ってくるね」



早瀬さんがいなくなると、颯もお客さんに呼ばれて行ってしまった。



「早瀬さん、彼がいるんでしょ?」



必然的にそらとふたりになる。



「無謀でも楽しいの?」



叶わない恋というものは、楽しいのだろうか?



「は?なんの話」

「そらの話」

「……………」



沈黙の後、そらがフッと笑う。



「俺が早瀬のこと好きだと思ってんの?言っとくけど、違うから。
たぶん、月島サンにはわかんないよ、一生」



踏み込んではいけない所に、入ってしまったのだろうか。

近くにいるのに、温度差を感じる。



「お待たせ~」



遠くで足音と早瀬さんの声が聞こえる。



「そう、ならわからないままでいいわ、一生」



恋なんかには興味がない。

そらの感情にも。

気になったのは一時の好奇心、それ以外の感情なんて全くない。



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