冷酷系女子



2人に家まで送ってもらい、早瀬さんは去り際にニコニコと笑いながら手を左右に振る。



「じゃ、じゃあね、月島さん」



2人の背中が遠ざかっていく

彼女は他の女性とは違う気がした。

そらを見てキャーキャー言ってる子
あたしを見て嫌味を言う子

今まであたしが見てきた"女性"というものはなんだったのかと思う程。



「早瀬さん」



気づくと、彼女を呼び止めていた。



「この間のことだけど」

「この間…?」



彼女と初めて話した時、早瀬さんがあたしに言った事。



『だからっ、その、わたしの彼氏と会ってあげてくれませんか!!?』



なにを言うんだこの人と思ったけれど、気が変わった。



「一度だけなら、会ってあげてもいいけど、あなたの彼」

「えっ、ほ、ほんとにっ!?」

「あなたに借りを作るのも、嫌だし」



あたしがそう言うと、彼女は目をキラキラ輝かせてこちらに走って来た。



「ありがとう、月島さん!!!」



ずっしりと自分に体重がかかる

もちろん、女性に抱きつかれたのなんて初めてだった。



「やめてよ、暑苦しい
言っておくけど一度だけだから」



あたしの気が変わったのは、何故なのだろう

そらを見ると、なんと言ったらいいのか、わからない表情で早瀬さんを見ていた。

あの表情を、なんと表すのか…あたしはまだ知らない。



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