冷酷系女子
トイレから出ると、壁によしかかって腕を組んでいる早瀬さんの彼がいた。
「…あなたも?男女共用じゃないけど」
自分が出てきた後ろのトイレを見ると、ちゃんと男性用と女性用に分かれている。
「ははっ、トイレじゃねーし
百合ちゃん待ってたんだよ」
組んでいた腕を放し、彼があたしにそっと近づく。
あたしの後ろの壁に、彼が右手をついた。
なに、この手
「ねぇ、百合ちゃん俺と付き合ってよ」
…なにを言ってるの、この人
「でもあなた、早瀬さんと付き合ってるんじゃ」
「あー、まぁそれはそれっしょ」
それはそれ?
「まーアイツとはノリで付き合っただけだし、今は月島さんにマジだから」
よく平気で、そんなことが言えるものね
今日会ったばかりの人間に
あたしのことなんて、何も知らないくせに。
-ドサッ
音がした方を見ると、早瀬さんがいた。
「ご、ごめん、2人共遅かったから様子見に…」
落としたポーチを、早瀬さんが拾う。
動揺してる…見てたのね、今の。
「あ、ちょーどよかった、清香別れてくんね?
俺月島さんと付き合うから」
………は?
笑顔であたしの肩に手をかける彼を見上げる。
この人、何を言っているの?