冷酷系女子



「あ、うん…わかった
功くんが月島さんのこと好きなら、仕方ないね」



早瀬さんが笑う

…なに、笑ってるのよ



「よかった、いいって百合ちゃん」



なにが、良いのよ



「じゃ悪いんだけどこ清香この払っといて、俺給料日前で金欠だから」

「うん、わかった」



…胃がムカムカする。

あたしは腹が立っていた。

肝心な感情は何も出さずへらへら笑ってる早瀬さんも、肩に置かれたままの男の手にも



「なんなのよ、あなた達」

「どしたの百合ちゃん」



男があたしの腕を掴む。

咄嗟に手を叩くと、小さくパシッと音がした。



「触らないでよ、気持ち悪い」

「いって…ちょっと美人だからって調子のってんじゃねーよ性格ブス」



…なに、その小学生みたいな悪口。

早瀬さんの彼…いや、"元"彼は大げさに叩かれた腕をさすりながら、あたしを罵倒する。



「あんた噂になってるよ、顔は良いけど性格最悪って。
人の男に手出すの趣味って聞いたからさぁ、まぁ美人だし1回くらいヤっとこうかなって思っただけだし
こんなウゼーと思わなかったわマジで」

「功くん…」

「清香さぁ、お前だってただの都合のいい女なんだよ
言っとくけど俺、お前のこと財布代わりとしか思ってなかったから」



早瀬さんは、ただ黙ってるだけだった。

怒るわけでもなく、泣くわけでもなく、ただ黙ってた。



「あーめんどくせぇ来るんじゃなかった、帰るわ」



それはこっちの台詞。

もちろん彼はお金も払わず、帰っていった。



あたし達は気付くと公園にいた。



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