冷酷系女子
「なんか、いいよね颯くんって」
食堂からの帰り、廊下を歩きながら早瀬さんが言う。
軽くスキップ混じりに。
懲りないわね、前の彼や颯みたいにチャラチャラした人種が好きだなんて。
「あ、そういえば百合ちゃん裏庭行ったことある?あそこすっごくお花がキレイでね、わたし最近いっつもあそこでご飯食べてたんだぁ」
うきうきしながら言う早瀬さんの肩に、ぽんと手が乗る。
手にはゴツゴツ、ギラギラ装飾した爪
あぁ、こんなの嫌って程見たことがある。
「ねーじゃあ一緒に行かない?その裏庭」
見覚えのある女の子が、早瀬さんの顔を覗き込んで笑ってから、あたしを睨んだ。
見覚えがあるといっても、本当に一度呼び出されたことがあるのかも定かではない。
みんな同じ顔していて区別がつかないから。
「…早瀬さん、先戻ってて」
「えっ、百合ちゃん」
あたしが女の子達に着いて行こうとすると、集団の一人、ボスみたいなのがフッと笑った。
「なに言ってんの?清香にも来てもらうから」
あたしが呼び出されるのには慣れているけれど、早瀬さんもだなんて
慣れない展開。