冷酷系女子



「やめてくんないかな
早瀬巻き込むの」



別に、好きで巻き込んでいる訳じゃない



「あいつ根性ないくせに無駄に正義感強いから、月島さん庇って無茶しかねないし」



…わかってる



『なーにしてんの、月島サン』


あの時、あたしの名前を呼んだのは…早瀬さんを守るため。

早瀬さんとそらが仲が良いなんて知れたら、早瀬さんがあたしみたいになるから。



「話し相手が欲しいなら、俺がなるから
それでいーでしょ?」



別に、話し相手が欲しい訳じゃない

あたしは独りだって構わないんだから。



「いつもの冷たい月島百合でいてよ」



冷たい…月島百合。

そらが居なくなった後、さっき擦りむいた手が無性に痛くなった。

確かにあたしは冷たい人間だ

そらは、あたしが早瀬さんと近づくことによって、彼女が傷つくと思っているのか

それ程に、彼は彼女の事が好きなのだ。



ふぅ、と擦りむいた箇所に息を吹きかけて、なにげなくフェンスの前に座る。

いつもの彼の定位置。

見えたのは、裏庭。

あぁ、これが彼がいつも見ていた景色か。



…あの時、あたしが早瀬さんの彼…今となっては元彼だけれど、その元彼に合うと告げた時

そらがしていた表情、あの名前がわかった。

ここに座ってみて同じ気持ちになるだなんて

あれは…"切ない"って言うのか。



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