冷酷系女子
「颯、今日時間ある?」
あたしには早瀬さんとそら以外に、話せる相手なんかいなかった。
けど教室まで颯に話しかけに言った途端、周りにいた女子達がずいっとあたしの前に出た。
「残念、颯は今日うちらと遊ぶの」
仁王立ちする彼女の後ろから、颯がひょこっと顔を出す。
「ごめんねぇ、百合ちゃん
今日は先役があってさ」
ぱんっと両手を顔の前で合わせて謝る颯
別に、あたしが急に言いだしたから謝ってもらわなくてもいいんだけど
「わかった、じゃあ」
あたしが教室を出て数分後、後ろから「百合ちゃーん」という恥ずかしいくらいの大声が聞こえて振り返れば
颯が小走りであたしの前まできた所だった。
「はいっ、コレ」
颯が差し出したのは、目がくりくりした目の女の子が表紙の…漫画?
「コレ、貸してあげるよ百合チャンにも
今日はコレ読んで自習ね」
……自習…って。
「あ、ちなみにそれまいまいから借りたのだから代わりに返しといてね!」
……まいまい…って、誰よ。
颯はお決まりのにっこり笑顔をキメて、無理矢理あたしに少女漫画を押しつけると戻っていった。