冷酷系女子



そらがぼーっと、誰もいない裏庭を眺めてる。



「…月島サンさぁ、こっから見てたでしょ、俺ら」



あたしと視線は合わせずに、そらが言う。

小さい頃、悪いことした時みたいに心臓がバクバク音をたててる。

あれは、なんというか無意識で…

無意識に、気になってしまって…



「それは」

「俺、どんな顔してた?」



どんな顔…って



「幸せそうな顔」



早瀬さんが好きで好きで、なんとか笑わせようと思って、そして笑ってくれた時はすごく幸せそうな顔をしてた。

あたしが言うと、そらは少し笑う。



「俺さ…月島サンに言われた通りだった」



恋というのが

気づいたら気になる存在で
無意識に目で追ってる人だなんて

それが本当に恋ってものなら



「俺、早瀬のこと好きなんだよ」



あたし、そらに恋をしてるんだ。

幸せそうなそらの表情を見て、あたしも幸せだった。



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