冷酷系女子



…思考回路がストップする。



女の子を好きになれない



男の子なら………?



「ぶはっ」



数分間の沈黙を破ったのは、颯の笑い声だった。



「ごめんごめん
なんか勘違いする言い方だったね
正確には、好きにはなるけどそれ以上にはなれないんだ
だから、それ以上のことは教えらんない」



よくわからないけれど、つまり

"ソッチの人"ではなかったわけね。

まぁ、どちらでもかまわないけれど。

颯は颯な訳だし、人間なんて色々な感情や思想があって当然だもの。



「要するに、颯の中には"特別な好き"は存在しないってところ?」

「まぁ、そーなるかな
誰かを好きになって、誰かに嫌われたくないし
平和が一番でしょ、やっぱ」



まぁ、その考えも素敵だとは思うけれど



「嫌いじゃないけれど、特別があった方があたしはもっと素敵だと思う」



人付き合いとか色々

面倒だと思ってた自分が、特別な人たちに出会って少し変われたように



「でも1人を特別にしちゃうとさ、なんか縛られてる感じじゃん
そんで相手も縛っちゃうっつーか独り占めにしたいとかなんかその、醜いじゃん?」

「それじゃあ、今のあたしも醜い?」



そらに特別な気持ちを抱いているあたしも、颯には醜く見えてるのだろうか。


少しして颯が微笑む。



「百合ちゃんは、綺麗だよ」



そしていつもの寒い言葉を口にする



「言っておくけど、颯もあたしの特別な人だから、颯にもあたしを特別だと思って欲しい」



あたしに普通通りに接してくれる、数少ない同級生だから






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