冷酷系女子
「佐々木さん、」
あたしが呼ぶと、彼女は目をまるくした。
あの後あたしは教室に戻り、颯に言われた通りまいまいに漫画を返すことにした。
教卓の前に置いてある座席表を確認して、まいまいらしき名前を探す。
その結果、それっぽい人は佐々木さんしかいなかったから、今目の前の彼女に声をかけた。
クラスの人たちは興味心身にこちらに注目している。
そんなにあたしが誰かに話しかけるのがめずらしいのかしら。
「どうしたの、月島さん」
佐々木さんもまた、驚いた顔をしてこちらを見ている。
「これ、颯に返しておいてと頼まれたから。」
漫画を手渡すと、佐々木さんは驚いた顔をしてから一変して怪訝な表情をする。
彼女が何かを言いかける前に、目的を終えたあたしは「じゃあ」と告げて廊下に出た。
「待ちなよ、月島さん」
…やっぱりね。
嫌な予感はしてたんだけど。
「なんで、颯に貸したものがあんたから返ってくるの」
「佐々木さんが颯に貸したものを、颯があたしに貸したからでしょ?」
普通に考えればわかるでしょう?そのくらい
けど、普通に話しても彼女たちにはわからないのよね、きっと
「ありえないんだけど何それ」
「人の物を勝手に借りたあたしも悪いかと思うけど、それはあたしの希望ではないし、颯に渡されて、颯に返してと言われたからその通りにしているだけ
だからあたしに怒るのは筋違いだと思うの、言いたいことがあるなら颯に直接言ったら」
あたしが言うと、佐々木さんの眉間のしわは益々深くなった。