冷酷系女子
「はっ、颯って優しいからー月島さんみたいな人ほっとけないんだよね
ちょっと優しくされたからって勘違いしない方がいいよ、颯は誰も好きにならないんだから
結城そらに飽きたからって、颯を狙ったって無駄なんだから」
佐々木さんの発言に色々間違いがあるので、訂正したいのだけれど…。
「なんだ、知ってるの」
「は?」
「でも彼、特別な女の子作るみたいよ」
「何それ」
「そのほうがいいって、あたしが言ったから」
佐々木さんは物凄い力であたしの両肩を掴むと、あたしの体ごと壁に押し付けた。
「何してんの!?何してんの
颯は今のままでいいのに、彼女とかっ、好きな人つくんないでいてくれればいのに、ただ近くにいれればいいのに、なんで余計なことすんだよ!!!」
「あたしは余計な事をしたとは思わないけど。
彼にとって、今みたいなチャラチャラした適当な人生のままがベストだとはおもわない。
それにあなたは近くにいれればいいと言ったけれど、それで満足なの?人の欲求って、次第に大きくなっていくものだと思うのだけれど
あなたは今後も、あたしみたいに自分より颯に近付こうとする人間に嫉妬して生きてくの?自分はもっと近付こうとする努力すらしていないくせに」
颯を閉じ込めていたのは、きっと周りの女の子達だったのだろう
颯は彼女の言う通り、優しい人だから
誰も傷つけないように、誰も特別にしなかった
というより、全員を特別にしていたのかもしれない
「マジ性格悪いよね、あんた」
自分自身、あまり性格が良いとは思わないけれど
今日のあたしは間違っていないと思う。
佐々木さんは今度はあたしの腕を掴むと、ぐいぐいと何処かへ引っ張っていく。
爪が、腕に食い込んでいるんだけど…。