冷酷系女子



それからはずっと、10分くらいお互い無言で

でも気まずい感じではなくて、自然な感じの。

そらはどう思っていたかわからないけれど、あたしには心地よい時間だった。



「そういえば、掃除しないの?」



一向に動く気配のないそらに問いかける。



「ん?あー、素直に掃除させられてんのって、俺のキャラだっけなーと思って」



…あたしがさっき言った言葉ね。



「ま、こんな不衛生なとこ長時間いたらどっか悪くしそーだし、そろそろ出るか」



そう言ってそらは椅子から立ち上がると、自分のズボンについた埃をはらった。



「でも、出るって言ってもカギが…」



偶然この教室にいたそらを巻き込んでしまって申し訳ないのだけれど、さっきこの場所は佐々木さんの手によってカギを閉められてしまった。

よって、外側から誰かにカギを開けてもらわなければ、脱出は不可能…



「あ、マジで気づいてなかったんだ」



そらがドアに近づくと、カチャッとカギが開く音がした。



「え?」



何、なにをしたの

まさか、カギが開いたの?

何かの手品?



「これ、普通に内側から開くカギだけど。」



そう言うとそらは、何度も内側からカギを上下にする。

カチャッ、カチャッ、と何度も音が響く…

あぁ、外側には鍵穴があって、内側は上下にずらすと開くタイプだったのね



「知ってたのなら、言ってくれれば良かったのに」

「や、なんかたまには月島サンと話したりすんのも面白れーかなって」



"たいして話してないけどな"とそらが付け足す。

そんなこと言われると…なんだか…



「ねぇ、」

「ん?」

「あたし、そらが好きみたい」



思わず、押さえきれない気持ちが込み上げて、そんなことを言ってしまった。

言うつもりはなかったのだけれど、勢いで。




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