冷酷系女子
―バタンッ
早瀬さんはあたしの腕を引き、そして屋上のドアを閉めた。
中にそらをひとり残して。
「え…待って、全く状況がよめないんだけどっ」
早瀬さんが頭をかかえてしゃがみこむ。
「そらってわたしのこと好きだったの!?」
「今さら気付いたの」
「もう今日わたしパニックだよ…あー……」
色々衝撃的なことが重なりすぎて、早瀬さんはパニック状態らしい。
頭から煙が出てきそう
とりあえず、彼女はどうする気なんだろうか。
一応、そらに告白された訳だけど…。
「でも、わたし振られたことはあるけど、振ったことってないからどうしよう…」
「……え、振るの?」
てっきり、二人は付き合うのかと思ったのだけど。
「あなたはそらが嫌いなの?」
「嫌いじゃないよっ!?嫌いじゃないけど、小さい頃から知ってるからそういう好きとは違うし、今までそんなこと考えたこともなかったし…
第一、そらは百合ちゃんの好きな人じゃん!!」
あたしの…好きな人だから?
「それは、違うんじゃない?」
「え?」
なんだか、ひっかかる。
彼女の言葉が
「前半はともかく、あたしの好きな人だからって、なぜそれが断る理由になるの?関係ないじゃない」
「関係あるよ!友達だもん!!」
「友達だから、そんなの関係ないんじゃないの?
あたしに遠慮してそらの告白を断るなんて、彼に失礼だし、あたしだって不愉快よ」
「百合ちゃん…」
早瀬さんが、困った顔をしている
別に、困らせたいわけじゃない
そらの告白を受けろと言ってるわけでもない
ただ、あたしは
あたしとか関係なくまっすぐに早瀬さんにそらを見てほしかった。
そしたらいくら鈍感な早瀬さんだって気づくはず
そらがどんなに、あなたを好きか