冷酷系女子
9.教えてあげる
「で?」
そらが、後ろにいるあたしの方へ首だけを向ける。
「何?」
「知って欲しいって、何を教えてくれんの」
そういえば…
『あたしのことも、少しでも、知ってもらいたい…』
そんなことを言って数日が経つ訳だけど
「…特に、考えてなかったわ」
「なんだよソレ」
ふん、と鼻で笑われた
いつも通りのはずなのに…
なんだか、今日は居心地が悪い。
「…じゃ」
なにか理由をつけて去るのも不自然だし、ただ短く別れのあいさつをして屋上を出る。
いつもは、どんなだったろう
あたし今までどうしてたのだろう
いつだったか、そらに気まずいとかないの?なんて聞かれたことがあったけど…
そうか、今が"気まずい"って言うのね。
「どうしたらいいのか、わからない」
こんなこと、聞いて解決することなのかわからないけど、早瀬さんに聞いてみた。
彼女、少なくともあたしよりは恋愛とか慣れてるみたいだし
「百合ちゃん、乙女~」
うふふと早瀬さんが笑う。
「馬鹿にしてるの?」
「してないよ~可愛いな、って思ってるの~」
早瀬さんは、他の女の子があたしに言わないようなことばかりを言う。
だからいつも反応に困る。
それにあたしからしてみれば、小さくて、ふわっとした早瀬さんのほうがよっぽどかわいらしいと思う。