冷酷系女子
「わたし、前から思ってたけど
百合ちゃんってすごく美人さんなのに自分に全然自信ないよね」
だって、自分のことが美人だなんて、思ったこともない
「テレビだとか雑誌だとか見れば、もっと綺麗な人なんかいるじゃない」
「そりゃーモデルさんとかはすっごく綺麗だけど、百合ちゃんは百合ちゃんですっごく綺麗なんだから、もっと自信持っていいと思うなー」
でもあたしがそんなに綺麗なら、そらなんてイチコロだと思うのだけど。
あぁ、そうか
顔とか外見で人を選ぶような人じゃないから、あたしは惹かれたのか
「百合ちゃんはさぁ、そらとどうなりたい?」
「どうなりたい、って言うか…」
「自分のこと知ってもらいたいならさ、簡単だよ
もっと話してみたらいいんじゃないかな、自分のこと」
「……そんなの、興味ある?そらは」
あたしのことなんか聞いたって面白いエピソードは何もないけど。
「興味ないかより、伝えたいかどうかじゃないかなぁ?」
伝えたいか、どうか。
「って、なんかわたしすっごい偉そうだよね!ごめんねっ!!」
あたしが伝えないと、伝わらないし
知ってもらえないのか。
「ううん、わかった、やってみる」
逃げないで、伝えてみよう。
「そういう訳で、今日から毎日一歳ずつ、あたしの生い立ちを伝えていこうと思うの」
改めてそらの元へ戻り、さっそく伝えた。
「どういう訳か知んねーけど、いいんじゃない?」
まぁ楽しみにしてる、とそらが付け足した。
そらと早瀬さんの仲に入り込めるだなんて思っていないけど、少しでも、ほんの少しでもあたしのこともそらの頭のすみっこにでも置いてもらえるといい。