冷酷系女子
とりあえず、そらと手分けして颯を捜すことにした
そもそも、きちんと学校にきてるかどうかも分からないけれど、じっとしていられなかったから
「あれーどしたの」
思いの外、捜していた人物はいとも簡単に見つかった。
ちょうど登校してきたばかりらしく、颯は玄関で上靴に履き替える。
「汗かいてるよ、らしくないね」
そう言って彼があたしの額の汗をシャツの袖でふく。
確かに、あたしらしくない。
走って、汗をかくまで、必死で誰かを捜すだなんて
「颯……」
よっぽど深刻そうな顔で見ていたのだろう、颯が察したのか表情が一瞬曇った。
「あーもしかして、見た?昔の俺」
颯の言葉に、小さく頷く。
「どうどう?ちょー不細工だったでしょ!!まじ黒歴史だからねあれ」
いつもと変わらないテンションが、見ていて苦しい。
「ごめんなさい」
今はとにかく、ただ颯に謝りたかった。
「え、なに、なんで百合ちゃんが謝ってんの?」
「あなたのこと、何も知らなくてごめんなさい」
あたしのことをいつも気にしていてくれたのに
いつも名前を呼ぶと助けてくれたのに
「あなたの名前、橘颯樹って、言うのね」
たちばな そうき
って、写真の下にそう書いてあった。