冷酷系女子
「ははっ、そんなことも知らなかったんだね百合ちゃん
颯くんファンなら知ってて当たり前なのにー」
「ファンじゃない、友達だから」
友達だから、余計に知っていたかったのに。
思えば颯は、誰よりも一番早くにあたしと友達になってくれた人だった。
「そうだね、友達だもんね」
「あなたのこと、捜そうにも…どこを捜したらいいのかもわからなくて」
「でも、必死で捜してくれたんだね」
ふわっと、颯が笑う。
あ、この笑いかた、好きかもしれない。
「だから勘違いしちゃうんだって、百合ちゃんのそういうとこ」
それ、前も言ってた。
「なんかたまに笑ったりとか、かわいいこと言ったりとかさ、やっぱ好きだな
俺、百合ちゃんのこと」
かわいいことなんて、あたし言ったことある?
それより、好きって…
「それは…友達として?」
颯が、あたしのこと好きな訳ない
だって、あたしがそらのことを好きなの知っているわけだし。
あたしが考えているのを見て、颯が笑う。
「そういうことでいいよ」
「何、それ」
次にボソッと颯が言った言葉は、小さすぎてよく聞き取れなかった。
「あの時、そのドキドキは俺のことが好きなんだよって、嘘ついとけば良かったかな」