冷酷系女子
「うち、来たの?」
早瀬さんの問いに、そらが頷く。
「やだなぁなんかわたし、疑われてるみたい」
ちらっと早瀬さんがあたしの方を向く。
あんな目は、見たことがなかった。
まるで別人のようで…彼女は……誰?
「こんなこと言いたくないけど、信じたくないけど、百合ちゃんが昨日遅くまで教室残って何かしてたの見たって子がいて、わたし…」
「いい加減にしろよ、清香
俺がお前の嘘わかんないとでも思ってんの?」
「清香ちん、俺はいいけど、百合ちゃん巻き込むのは黙ってらんないよ」
早瀬さんの口から、聞きたくない言葉が次々と出てくる。
「なんで…こうなるのかな」
彼女は違うって、思っていたのに。
「わたしが悪いの?
そらが悪いんだよ!?そらのせいで、わたしが今までどれだけ辛い思いしてたかわかる!?」
「清香…」
「中学の時、そらと幼なじみってだけで周りの子に妬まれて、嫌がらせされてたの知ってる?高校に入ったら、やっと、離れられるって思ったのに…なんで、また同じ学校なの!?わたしを好きなんてふざけないでよ、わたし、そらのことなんて大っ嫌いなんだから!!!」
早瀬さん……
「百合ちゃんも、颯くんだってそうだよ
顔が良いってだけでどうせずっと得してきたんでしょ
そらと一緒だよ、むかつくの」
早瀬さんには、そんな言葉使って欲しくなかった。
「でも、颯くんは違うんだ、わたしと一緒だって思ったのに、なんで百合ちゃんなの?
わかってたくせに、わたしがやったことも、言えばいいのに
本当はかっこよくもないくせにかっこつけて馬鹿みたい」
「もうやめろ、清香」
早瀬さんは、友達だった。
だからもう、いい
もう聞きたくない
「いいよ、あたしが犯人で」
もう、彼女を傷つけたくない。
どうせあたしは友達だっていないし、嫌われてる。
だから、あたしが犯人なら誰も困らないし、丸く収まる。
今はただもう、早瀬さんの言葉を聞きたくなかった。