冷酷系女子



「ごめんね百合ちゃん」



あの場から、逃げるように去るあたしの後を、颯が謝りながらついてくる。

なぜ、あなたが謝るの。

被害者はあたなじゃない。



「ごめん」



何度も何度も後ろから謝るから

あたしは前を向いたまま立ち止まった。



「ねぇ、颯
あなた友達多いんだし…メール回しておいて、全部あたしが"月島百合がやったことでした"って」



得意でしょ、きっとそういうの。

あとはそうね、おしゃべりの女の子にでも話してもらえればきっと直ぐ様噂が広まって…



「ごめん俺、知ってたんだ…清香ちんがやったんだって。
けど、百合ちゃんは特別だからほんとのこと言って傷つけたくなかった。」



目から、涙が出てくる。



「…なんで、泣いたり笑ったり
颯の前でばっかり…」



見せたくない姿を、いつも見せてしまっている気がする。

颯だって辛いはずなのに、なぜ、あたしなんかを守ってくれるのだろう。



「誰だって、好きな人の前だとカッコつけたいんだよ
だから百合ちゃんも結城の前じゃ緊張しっぱなしで素直になれないんだよ」

「そういうものなの?」



ぼろぼろの顔で振り返ると、颯がとびきりの笑顔で待ち構えていた。



「ねー、百合ちゃん"にー"って言ってみな」

「にー?」

「百合ちゃんの笑顔、最高!結城もイチコロじゃん!!
だからたまには、カッコつけなくてもいーんだよ」



あぁ、1+1=って、やつね。

颯はいつもあたしに元気をくれる。



「さすが、先生ね」


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