冷酷系女子




「ねぇ颯、あたし…未だに信じられないの
早瀬さんがあんなことするだなんて思えないもの
でも…今まであたしが見てきた早瀬さんと、今日の早瀬さん、正直どっちの彼女が本当なのかわからない」



今までの彼女はなんだったのか、全部が嘘だったのか、それを知るのが怖くてたまらない。

嘘なら、ずっと知らない方が良かった。

あたしの質問に、颯ならきっと私の望む答えを出してくれるって、そう思っていたけれど

颯の口から出た言葉は違った。



「うーん、まぁ信じたくないのはわかるけど、やっぱり今日のがあの子の本性だったんじゃないかな」



早瀬さんの、本性……



「今まではなんていうか、仮面をかぶってたというかさ。」



仮面……

じゃあ、あたしのことを友達だと言ったことも、嘘なのだろうか。



「でも、まぁよかったんじゃない
このまま騙され続けるよりは」

「早瀬さんは、そんな人じゃない。」



……と、思う。

思いたい。

颯のことを見ると、彼はとても優しい笑顔をしていた。



「うん、結局、百合ちゃんが信じたいと思う方が本当の清香ちんなんじゃないかな。誰が何て言ったってさ。」



あぁ、颯はわかっていたんだ

あたしが求めていた答えを。



「俺も、そんな子じゃないと思うよ」



なんだか、心がすっと軽くなった。

悲しい気持ちが晴れるのと同時に、彼女も同じように悲しい気持ちになっているのかと思うと、そんな彼女を救いたいと思う。



『友達って、悲しい時は一緒に泣いて
楽しい時は一緒に笑うものでしょ?』



いつだったか、彼女があたしに言ってくれた言葉。

今度は私がちゃんと友達の役目を果たす時なのかもしれない。



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