悪魔なあいつ
それは、ファンタスティックだこと。
一通りの説明が終わった後で、私は最も気になっていることを口にした。
「で、なんで私の傍にいるの?」
初めて会った時も、学校でも。
「えっと…それは、」
躊躇いながらも、彼は
「君が好きになったからなんだ」
爆弾を投下した。
*
「す、き……?」
誰が、誰を?
「上には下の様子が見れる場所があるんだけれど、そこから見た時に一目惚れしちゃってさ。だから僕は君が気づいてない時にも、ずっと傍にいたんだ」
「……いつ、から」
「……一年前、くらいかな。だから君のことは、大体知ってる」
一年、前?
それって、大問題なんじゃ。
じゃあ、何?
私は、質の悪いストーカーに、つきまとわれてたってこと?
「……だって、気づかなかった」
「それはしょうがないよ。普通のことだから」
「でも、今は見えるじゃない」
「あー…うん、それなんだ」
悪魔は悩むように顎に手をあてた。
「普通悪魔は、下に来る時にはそれ専用の着衣を身につけるんだ。そうすれば絶対、人間には視認できない。筈なんだけど……」
何故か私には見えてしまった。
どうやら私は特殊なケースらしい。
「で、相談なんだけど」
いきなり話題を変えてきたので、私は何だろう、と首を傾げて彼の次の言葉に注目した。
「僕と、契約してもらえないかな」