カレシ
「おっしゃ、着いたで」
先輩はそう言うと車を止めた。
「目ぇ閉じながら、ちょっと待っててな」
先輩が車を降りる音が聞こえるとすぐ、あたしの方のドアが開いた。
「ちょっとごめんな」
先輩はそう言うと
っ!!!
あたしはその瞬間、先輩にお姫様抱っこされていた。
「ちょっ先輩!!」
いきなりのことに驚くあたし。
「ごめん、ちょっと我慢してや(笑)」
バタンとドアの閉まる音がする。
先輩の体温があたしに伝わってくる。
そして、先輩の香水の香りも。
近くに先輩を感じて、あたしの心臓はドキドキして止まらない。
ドキドキしてるの、先輩に分かっちゃうよ…
「ゆいちゃん、ゆっくり目開けてみ」
あたしはドキドキが止まらないまま、目を開いた。