カレシ

「おっしゃ、着いたで」

先輩はそう言うと車を止めた。

「目ぇ閉じながら、ちょっと待っててな」

先輩が車を降りる音が聞こえるとすぐ、あたしの方のドアが開いた。

「ちょっとごめんな」

先輩はそう言うと



っ!!!

あたしはその瞬間、先輩にお姫様抱っこされていた。


「ちょっ先輩!!」

いきなりのことに驚くあたし。

「ごめん、ちょっと我慢してや(笑)」

バタンとドアの閉まる音がする。



先輩の体温があたしに伝わってくる。
そして、先輩の香水の香りも。

近くに先輩を感じて、あたしの心臓はドキドキして止まらない。

ドキドキしてるの、先輩に分かっちゃうよ…



「ゆいちゃん、ゆっくり目開けてみ」

あたしはドキドキが止まらないまま、目を開いた。


< 126 / 177 >

この作品をシェア

pagetop